大切な車を売る

ロールスロイス

「世界最高の自動車」と呼ばれ、最高級の代名詞として、ロールス・ロイスを思い浮かべる人は少なくないのではないだろうか。エリザベス女王の御料車に採用されるなど、高品質な性能と気品を漂わせる佇まいは、最高級を銘打つに相応しい貫禄を備えている。

歴史

1906年3月、チャールズ・スチュワート・ロールズとフレデリック・ヘンリー・ロイスによってロールス・ロイス社が誕生する。
チャールズ・スチュワート・ロールズ
1877年8月27日、貴族の家に生まれたロールズは、親友のクロード・ジョンソンとともに自動車の輸入販売をはじめるが、当時の英国ではフランス車が主流であり、英国車は技術的に遅れをとっていた。ヨーロッパ各国のカーレースにも出場していたロールズだが、出場する車も販売する車もイギリス車でないことに愛国心の強い彼は不満を感じていた。
フレデリック・ヘンリー・ロイス
一方、1863年3月27日、フレデリック・ヘンリー・ロイスは製粉業を営んでいたヘンリー・ジェームス・ロイスの5男として生まれるが、ロールズとは対照的に家計は貧しく、ロイスが4歳の時に製粉会社は倒産。その後病気を患い、生活の困窮から9歳で働かざるを得ず、11歳まで学校にも通えなかった。しかし、独学と親戚からの支援を受け、当時最先端だった電気技術と出会う。
電気の将来性を感じ、ロイスは熱心に学ぶ。1884年にエンジニア仲間のアーネスト・アレクサンダー・クレアモントと電気部品製造会社ロイス&カンパニーを設立。発電機とモーターの開発、販売で成功を収める。
2人の出会い
自動車の将来性を感じていたロイスは、自ら自動車製作を決意。1902年に最新技術を学ぶため、フランスのドコービル製の自動車12HPを購入した。しかし、振動の激しさとコントロール性の悪さは、彼を失望させた。精密な電気製品を開発してきた彼にとってありえなかったのだ。
ドコービルを参考にしながらも、彼は自動車の設計を一から見直した。ロイスの製作した点火システムやガバナー付キャブレターは当時の最先端を行く設計であり、性能面、実用面において充分な信頼性を持っていた。
1904年4月1日に完成した「10HP」の走行テストを成功させると、クレアモントと、ロイス社の直ぐ側で工場を経営していたヘンリー・エドマンズに、1台ずつ車を渡して走行実験を続けた。
エドマンズはチャールズ・スチュワート・ロールズと同じ自動車クラブのメンバーだったため、優秀なイギリス車を求めていたロールズに「10HP」を試乗させた。性能の優秀さに感銘を受けたロールズは、1904年5月、エドマンズの仲介でロイスと会談を持った。

ロールス・ロイス誕生。繁栄と倒産の果て

イギリスの国産自動車を育てて売ることを求めていたロールズと、電気関係製品事業に限界を感じていたロイスにとって、この出会いはまさに運命的なものであった。1906年、両者合同のもと、ロールズ-ロイス社を立ち上げる。
ロールス・ロイスの、奇をてらわない堅実な高性能自動車は、パリの展示会で自動車業者に大きな衝撃を与えた。自動車後進国であるイギリスから、フランスの製品を遥かに上回る高品質自動車がデビューしたのである。
この後、ロイスは3種類のエンジンを作り、同年、ロールス・ロイスの世界的な名声を確立した名車として知られている「40/50HP」型、「シルヴァーゴースト」が誕生する。
「ファントム」など次々と名車を世に送り出し、1931年には、ル・マンで数々の勝利を収めたベントレーを買収。会社は順調に歩みを進めていった。1939年9月に第二次世界大戦が始まると、航空エンジン等でも成功をおさめた。
しかし、1960年代にRB211エンジンの失敗などによって財政は逼迫し、1971年に経営破綻してしまう。1973年にヴィッカーズに売却されたが、2003年1月に生産・販売権をBMWが取得した。

ロールス・ロイス、再び

BMWに移ってから、ロールス・ロイスは大きく変わっていく。パルテノン神殿をモチーフとしたとされるラジエターデザインや、スピリット・オブ・エクスタシーなどの意匠的な伝統を継承しつつも、以前にも増して、恐ろしいまでの高級感と性能を兼ね備えている。
スピリット・オブ・エクスタシーは純金製や純銀製などオーダー可能で、グラスキャビネットやペンホルダー、シガー・ケース、クールボックス等車には土台必要のないような装備が当たり前のように用意されている。乗車すると、その車体の大きさ、ドアの重厚感、遮音性の高さ、走行時の振動の少なさ等が、外界との接続を遮断し、室内であるかのような錯覚すら覚える。車体の大きさもさることながら、数秒で100km/hまで達するV型12気筒エンジンのパワフルさにも目を見張る。

中古車としてのロールス・ロイス

最高級車、ロールス・ロイスの中古車としての資産価値は高い。だが、限定車やクラシックに位置する年式の車種以外のものに関して、日本というマーケットでは、中古車需要が極端に少ない。
この車を購入、維持するのは、中古車であっても難しいことから、売却時の値落ち額が大きいことは否めないのだ。ただ、車査定額や市場価値からは推し量れない価値が有ることは間違いない。売却する際は輸入車や高級車を専門に扱う買取業者に依頼することをおすすめする。

世界最高の自動車

現在でも、一部の富裕層にしか乗ることが出来ない高級車、ロールス・ロイス。しかし、多くのセレブリティから愛されて止まない成功者の証としての存在感は、今もなお健在だ。中古車であっても、この車を所有することは、否応なしに成功を意味している。100年以上も最高級という代名詞を守りぬく英国の一流が、今後、どのように変化していくかも興味深いばかりである。