大切な車を売る

ベントレー

ロールス・ロイスと並ぶ、イギリスを代表する高級車。エリザベス女王の公務専用車に採用され、会社も100年近く続く歴史のあるカーメーカーだ。
1919年、ウォルター・オーウェン・ベントレーはロンドン・クリックルウッドにベントレーモータズを設立。当初から「速い車、良い車、クラス最高の車を創る」を
目指し、1924年から1930年までに、ル・マンで5度の優勝を果たし、他を圧倒する強さと名声をベントレーにもたらしました。
ベントレーが持つ圧倒的な高性能とヒロイズムは当時の若者達を虜にした。
栄光あふれる「ベントレー・ボーイズ」の活躍は同社の魅力だけでなく、経営も救う活躍を見せる。

衰退と喪失

1931年ベントレーモータズは経営不振からロールス・ロイスに吸収合併され、反映を極めたレース業界からの撤退を余儀なくされる。
合併後、ロールスロイスの姉妹車化が進み、両車両の性能差はどんどん無くなっていった。ベントレーの個性は曖昧なものとなり、販売台数も減少の一途をたどる。
もはや、過去に栄華を極めた同社の輝きは失せ、ベントレーには衰退の道しか残されていないように思われた。しかし、喪失した同社の人気と権威は、再び輝き始めることとなる。
1971年、親会社であるロールス・ロイスが倒産。1998年にフォルクスワーゲンの傘下となる。大規模な設備投資やレースへの復帰を果たし、その恩恵を十二分に発揮。
かつてル・マンで花開いた英国高級車は83年の時を経て、2003年に優勝を果たし、見事な復活を遂げる。

劇的な英国高級車

かつて、これほどまでに刺激的な歴史を歩んできた自動車メーカーは有るだろうか。数々の成功と崩壊の危機に晒されながらも、不死鳥のごとく復活を遂げ、
年々生産台数を伸ばしている高級車はあまりない。また、一貫して変わらない車への情熱も感嘆の一言に尽きる。独自のデザイン性や贅沢なハンドクラフト、
車重をものともしないパワーとパフォーマンス、ツインヘッドライトやマトリックスグリル、その全てが、ベントレーという高級車を物語り、
その精神が悲痛の中にあっても失われず今に至る。中古車市場で高級車の査定額の値崩れは否めない。だが、
それを加味したとしても人生で一度は手に入れたい車であると、思わずにはいられない名車であることに変わりはない。
その車を所有したとき、きっと損得勘定で売る気にはならないだろう。「ウイングドB」は、決して折れることのない翼を、これからも持ち続けるだろう。